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日本スポーツ心理学会第45回大会にて2件の研究発表を行いました。

平成30年10月12~13日に開催された日本スポーツ心理学会第45回大会(名古屋国際会議場)にて以下の2件の研究発表を行いました。

① 発表題目「ストレス/リカバリーに着目した自己モニタリング技法がセルフモニタリング能力に及ぼす影響―ジュニア水泳選手を対象にして―」(門岡晋・熊谷史佳・菅生貴之)

② 発表題目「運動部活動顧問が認識するジュニアスポーツにおける親の行動」(三井みのり・菅生貴之)



<研究発表の要旨>
ストレス/リカバリーに着目した自己モニタリング技法がセルフモニタリング能力に及ぼす影響 ―ジュニア水泳選手を対象にして―
門岡 晋1)・熊谷史佳2)・菅生貴之3)
(1) 金沢星稜大学 2)福井工業大学 3)大阪体育大学 )

 本研究では,日本版The Recovery-Stress Questionnaire for Athletes (以下,RESTQ-76 Sport) (門岡ほか,投稿中)というストレス/リカバリーを19尺度により評価可能な心理尺度を活用し心理サポートすることで,ジュニア水泳選手のセルフモニタリング能力がどのように変化をしていくかを検討しました。選手は,2か月間に渡りRESTQ-76 Sport測定及びフィードバック(週1回)と心理的コンディション日誌(RESTQ-76 Sport尺度を基に作成)に取り組みました。その結果,セルフモニタリング尺度の「動機づけ」得点においてトレーニング群(日誌に38-92%の記入が認められた選手:8名)が対照群(日誌に19-36%の記入が認められた選手:9名)と比較し有意に向上しました。「動機づけ」には“新しい技術を習得する時には,それが完成するまで努力を続ける”“自分なりのやる気がある”などの項目があり,セルフモニタリングを機能させる上で最も基礎となる尺度であると考えられます。本研究では,大会に向けた心理的コンディショニングに対する手がかり (目標値) を掴むことができ,目指した行動や目標への「動機づけ」が高まったことが推察されます.これらの結果を受け,今後は日誌の構成を工夫するなどして更に効果的なサポートの展開方法を検討していきたいと考えています。



運動部活動顧問が認識するジュニアスポーツにおける親の行動
三井みのり1)・菅生貴之2)
(1) 大阪体育大学大学院・院 2) 大阪体育大学 )

 本研究では,中学校部活動指導者を対象に,親が子供に与える影響に関して運動部活動顧問がどのように認識しているのか調査を行いました.親が子どもに与えている良い・良くない影響に関する内容を,自由記述により回答してもらいました. その結果,良い影響は『部活動への関心』『顧問への理解・信頼』,良くない影響は『部活動に無関心』『勝利至上主義』などが挙がりました. これらの影響の中で親の行動に大きな違いは見られず, 親の関わりの「程度」が両義的に関わっていることが示唆されました.これらの結果から,運動部活動において親の行動は介入の程度が重要であると考えられるため,行動をどの程度行うことが理想的であるのか今後は明らかにしていき,運動部活動内の関係性の向上に役立たせていきたいです.

※写真は大阪体育大学関係者の皆様と

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